背守りについて


せもり


小さな子供用の着物には「背守り」があります。これは「せまもり」もしくは「せもり」と読みます。

お師匠さん達は「せもり」と読んでいたかな。


首の下あたり、背骨の上にくる場所に糸で絵柄が施されています。


当店のSサイズ(一つ身)浴衣にも同じく背守りがあります。


この背守りには、迷信や噂などがあります。


まず、腰上げや肩上げの歴史ブログにも記載したのですが


着物が普段着だったかつての日本では、子供が成人まで成長する事が今よりも簡単では無い時代が長くありました。


家族達は子供の成長を心から願い、たくさんの神頼みやおまじないを行います。


そんなおまじないの中の1つに「背守り」があります。


当店のSサイズの浴衣もそうですが、一つ身の着物(浴衣)には、背中に縫い目がありません。

Mサイズ(四つ身) / Sサイズ(一つ身)

小さな子供たちは反物(着物布が巻物状態になっている物)の幅で大きさが十分なので縫い合わせて幅を出す必要が無いため、背中に縫い目は出来ません。


背中に縫い目が無い着物は、この子供向けのものだけです。

この小さい着物を着る子供たちが次々と病にかかったり、長く生きられないのは背中に縫い目が無いのが原因では?!と噂されたのです。

人間の中心には魂が宿っており、縫い目の無い背中から悪い物が入ってこないように、悪い物に魂を抜かれないようにガードが必要だと考えられました。


そして読んで字の如し「背中のお守り」を縫い付けるのです。

お守りの種類は様々で、たくさんの絵柄が生まれました。


一針一針、願いを込めて魔除を施しました。

他にも、第二次世界大戦頃までは、戦地に赴く兵士の生還を願い弾丸除けのお守りとして盛んだった千人針も、一針一針に願いを込めたと言われています。

針を使い、糸を縫う行為は昔から大切な意味を持っていたようですね。

私も今まで以上に心を込めて浴衣を縫おう!と、改めて思います。